多くのアーティストから愛されたキーボーディスト佐藤博。
そんな彼が1982年に発表したレコード『アウェイクニング』は、アルファレコード移籍第1弾となった作品です。
クオリティの高いサウンドとアメリカのウエストコーストを感じさせるメロウが、世代を超え多くのファンに支持され、今もなお数多くのアーティストに影響を与えている色褪せない名盤です。

佐藤博のプロフィール

1947年6月3日、鹿児島県生まれのシンガーソングライター兼キーボーディスト。
ティン・パン・アレーのメンバーとして活動、75年に鈴木茂とロックバンド『ハックルバック』を結成します。
76年にはソロデビュー作品『SUPER MARKET』を発表すると、シンセサイザーの実力が評価され山下達郎、大滝詠一、細野晴臣らの作品に参加。
79年からは、当時歌謡曲や歌謡ポップスばかりのスタジオミュージシャンという自身の仕事に関心が持てなくなり武者修行のため、アメリカへ渡米します。
その後、イギリスのバンド『スペンサー・デイビス』らと共演を果たし、82年に日本へ帰国。
2012年10月26日、65歳でこの世を去りました。

佐藤博の魅力や経歴とは?おすすめ作品3選をご紹介!

佐藤博の魅力とは?

佐藤博の魅力は、何と言っても飽きさせることのない楽曲にあります。
ソロ作品としては10枚以上を残し、どの作品からも常に新しい音の世界観を作り上げるため新しいサウンド・テクノロジーを取り入れ発表し続けました。
当時はまだ認知されていなかった一人多重録音という手法を駆使し、制作された楽曲の数々は職人佐藤博にしか作ることのできない唯一無二のものでした。
その確かな実力と音楽性は、当時から彼を知るアーティストたちから絶大な支持を得ています。
佐藤博に対して大滝詠一は『ラグタイム(ピアノ)ならば日本一』、細野晴臣『サーティーンスやシックス・ナインスといった、ジャズによく使われるコードを用いた都会的な部分が彼の個性』、山下達郎『日本最高のピアニスト』など、日本の音楽シーンを支えてきたアーティスト達から高い評価とリスペクトを受けています。

佐藤博の経歴

1947年6月3日、真宗大谷派の寺の長男として鹿児島県知覧で生まれました。
2年後の1949年には、京都の寺に移譲することになります。
中学生の頃になると、長男であった佐藤博は『自分は寺の住職を継ぐしか道がなく、職業を選ぶ自由もないのか』と思うようになり、生きることへの希望を失ってしまいます。
その当時、ギターを触る機会がよくあり、その度に開放弦の音色に魅了されていきます。
次第に『音楽とずっと関われるのであれば、生きていってやってもいいか』と考え直すようになった佐藤博は、音楽の世界へ没頭。
高校に進むとベースギターやドラムを習得、高校1年生にして自宅の蔵をスタジオ代わりに多重録音での製作を始めます。
元々は作曲家・編曲家志望だったものの、東京ユニオンの藤尾正重から『それだったら鍵盤の方が有利だ』とアドバイスをもらい20歳から独習でピアノを始めます。
この時の心境を『もしもプロになれなければ、この世とおさらばしてもいいと思った。そのくらい猛練習をした』と語っています。

佐藤博の作品3選

佐藤博のおすすめ3作品をご紹介します。

1.アウェイクニング(1982)

佐藤博がロサンゼルスでの音楽活動後、1982年に発表した4枚目のオリジナルアルバムでアルファレコード移籍第1弾の作品となります。
カナダ人女性ヴォーカリストWendy Matthews(ウェンディ・マシューズ)をゲストに迎え、当時最先端であったドラムマシン『リンドラム』を使い制作されました。
アメリカ西海岸を感じさせるサウンドは、今も音楽史に残る名盤として多くのファンに愛されています。

2.THIS BOY(1985)

名盤とされる『アウェイクニング』と『SAILING BLASTER』からの代表曲を加えた編集盤。
シングル曲で人気の高い80s打込みサウンド『shiny lady』や、山下達郎がテレキャスのカッティングで参加した『SAY GOODBYE』も聞き逃すことのできない1曲です。
ジャケットとタイトルにふさわしい、一夏の爽快感と切なさを感じさせる作品になります。

3.Sound of Science(1986)

本人が『未来のスペース・コロニーなんかで聴いても十分に納得できるような普遍的なポップスをつくりたい』と語り、制作に7ヶ月もの月日を費やした通算6枚目のオリジナル・ソロアルバム。
キャッチコピー時は『コスモ・エイジには耳で呼吸(イキ)する科学(ヤツ)もいる』と、少し変わったものであった。
作風はそれまでとは違い、力強い都会的な楽曲から、ゆったりとした時間の流れを感じさせるものまで飽きさせることのない1枚に仕上がっています。

佐藤博のレコード買取相場

特に人気の高いアルバムを3枚選出しました。

タイトル参考買取価格
アウェイクニング(LP:ALR-28036)1,000円
タイム(LP:LX-7009-C)3,000円
オリエント(LP:PROT-7002)5,000円

佐藤博のまとめ

いかがでしたでしょうか?
今回は、多くのアーティストから愛され続けたキーボーディスト佐藤博を紹介してきました。
学生時代の将来への葛藤、そして音楽との出会いを経て数多くのアーティストに影響を与え続けました。
現在、City Popというジャンルが人気を集めている中で、まさにチェックしておかなければならないアーティストの1人に挙げられるでしょう。
是非、サウンドや歌詞から佐藤博の世界観を楽しんでみてください!