「LPの良いところは、きちんと可愛がって上げれば、
良い音を出してくれることです。」
これはレコードマニアとして有名で、ご自身ジャズ喫茶の経営もされていた作家、村上春樹さんの言葉です。この言葉は「モノとしての価値」や「愛着がわく」といったレコードのメリットと同時に、「それだけ取り扱いに気を付けなくてはいけない・利便性に劣る」というデメリットもよく表しています。
多くの音楽が手軽にダウンロードできるこの時代に、なぜかさばって手間もかかるレコードが生き残り続けているのでしょうか。私たちはその理由の1つとして、「モノとして残るからこそ可能になる、文化的価値」があると考えています。
ずっと昔のアーティストが、今の人に「発掘」される、ということがあります。由紀さおりさんの「夜明けのスキャット」(1969年)が2012年に再ブレイクを果たしたのも、その一例です。ピンク・マルティーニのリーダー、トーマス・ローダーデールがアメリカのレコード店で偶然目に留まった由紀さおりさんのLPを購入したことで、この心温まる協演が果たされたのです。
今日では、音楽を形として持たない動きも強まっていますが、上述のようにモノとして残るからこその価値、魅力があります。由紀さおりさんのエピソードも、1枚のレコードがなければ実現していなかったのです。
当店は、中古レコードの買取を通じて、音楽文化に貢献していくことを目指しています。一見したところでは多くの人には価値の分からないレコードを、その真価をわかるかたへ受け継ぐ。レコードの中には、CDでも手に入らず、ダウンロードもできない廃盤も多くあります。そんなレコードが捨てられてしまったら……。その損失はあまりにも大きい、ということがお分かりいただけると思います。
音楽を次の世代に残すという目的のため、
私たちは他店にない強みを持って営業しております。