今回ご紹介するのは、1967年に発表され、世界初のプログレッシブ・ロックのアルバムともいわれるムーディー・ブルースのセカンドアルバム、『デイズ・オブ・フューチャー・パスト』(旧邦題は「サテンの夜」)です。
プログレッシブ・ロックというのはジャンルやテーマがロックの範疇におさまらないような、「先進的」「革新的」なロックを指します。例えばクラシックやジャズなど、他ジャンルの音楽性を取り入れたり、構成の凝った長大な曲を作る、といった工夫がなされました。
『デイズ・オブ・フューチャー・パスト』は「ロックとクラシック・オーケストラの融合」「アルバムを通じて1つのコンセプトを示している」という2つの点で先進的でした。
まずは「ロックとクラシック・オーケストラの融合」について。ムーディー・ブルースが当時所属していたデラム・レコードはこれまでにないロックを求め、「ドヴォルザークをロック・オーケストラで録音する」という計画を立てました。
しかしながらバンドは自分たちの曲を録音したいとのことでこの案は無しになり、結局「バンドが作った曲のつなぎをオーケストラで演奏する」ということに落ち着きました。なので、「ロックとクラシックの融合」といっても、実際に聴いてみればバンドサウンドとオーケストラが交互に演奏するような具合です。
次に「アルバムを通じて1つのコンセプトを示している」という点です。これは曲目を見れば明らかで、1曲目の「一日が始まる」から最終曲「夜:サテンの夜」まで、アルバムを通じて「人の1日」、そして1日の流れになぞらえた「人生」を描いています。何かの始まりを予感させる朝から喧噪の昼、そして午後から夕暮れにかけて寂寥感が増していき、最後に夜が来る、という構成は見事に1日を描き切っています。
このアルバムからは最終曲「サテンの夜」がシングルカットされ、21世紀にいたるまで複数回チャートインするムーディー・ブルースの代表曲となっています。
さて、高価買取させていただくのは国内初盤です。オリジナルとまったく違うジャケットデザインと赤い帯が目印です。