LP、EP、SP……。一口にレコードといっても、その種類は様々です。他にも「7インチ」「45回転」などいろいろな呼び方があり、「このレコードはどれになるんだろう」と思われる方も多いのではないでしょうか。

今回は、「SP盤」と呼ばれるレコードについてお話します。読み終わるころには一発でSP盤が見分けられますよ!

SPレコードとは?

そもそもSPレコードとは何なのかというと、「蓄音機時代のレコード」です。蓄音機というと、ビクターの犬が耳を傾けている、ラッパのついたあれです。つまり、レコード界の古株、LPやドーナツ盤の大先輩がSPレコードです。

TU-Fieldでは、蓄音機時代のSPレコードを幅広く買取しております

SPレコードのポイントその1 素材

SPレコードとその他のレコードの最大の違いは材質です。SP盤はLPなどと違い、手に取るとずしりと重みがあります。それに、落とすとお皿のように割れてしまいます。SPレコードはとてもデリケートなのです。

SP盤の原料は「シェラック」です。シェラックはカイガラムシという昆虫から採れる天然素材で、それを成型したレコードがSPです。

「78 rpm」のレコードを売るなら、TU-Fieldの宅配買取にお任せください

SPレコードのポイントその2 回転数

海外では、SP盤の事を「78 rpm」と呼びます。「rpm」というのは1分間で何度回転するか、という単位で、SPレコードは「1分間で78回転するレコード」ということになります。1秒で1.3回転、ということで結構大きな数字だということがお分かりいただけると思います(LPは33 1⁄3 rpm)。

回転数が大きい、ということはそれだけレコードから取り出せる音エネルギーが大きい、ということです。同じ音を取り出すのに、LPの2倍以上の長さの溝を針がたどるため、針がよく振動するわけです。
SPレコードは蓄音機の時代のレコードですから、アンプを通して音を大きくすることが出来ません。ラッパを鳴らすために、そもそもとれる音量を大きくしておく必要がありました。

そしてまた、回転数が大きいということはそれだけ録音できる時間が短い、ということです。LPなら片面20分以上入りますが、SPは10分にも満たないものがほとんどです。クラシックの長大な曲となると、何枚ものレコードを次々にかけなくてはなりませんでした。
余談ですが、今日普通に用いられる「アルバム」の由来がここにあります。交響曲などのSPは、本当に冊子のかたちで販売されていました。

LPよりも収録時間の短いSPの買取はレコード買取専門店「TU-Field」にお任せください

SPレコードのポイントその3 名前

「SP」って何の略でしょうか? ヒントはLPです。LPはロング・プレイング(Long Playing )の頭文字なので、LPよりも収録時間の短いSPはショート・プレイング? と思いきや正解はスタンダード・プレイング(Standard Playing)です。

冷静に考えれば当たり前なのですが、LPが登場したときはSPレコードがスタンダードだったので、SPが短い、という認識はなかったわけですね。

SPレコードの相場事情

そもそもSPレコードを聴く人はいるのか、プレーヤー(蓄音機)は今も手に入るのかと思われることでしょう。答えはどちらもイエスです。熱心なSPコレクターは少ないながらいらっしゃいますし、蓄音機も当然中古ですが手に入ります。蓄音機の修理業者も、ネットで検索するといろいろと出てきます。また、78回展に対応したプレーヤーもあるので現在でもSPレコードを楽しむことは可能です。
ではどんなSPが人気なのか、高く売れるのか。ダントツで高いのは朝鮮出身歌手のSPレコードです。伊心徳など、数10万円での買取になるものもあります。このあたりはネット検索でも出てくる情報が少なく、現存枚数は相当少ないものでしょう。一般家庭にある可能性は極めて低いお品です。
次に人気なのは美空ひばりなどの流行歌です。SPは通常、ジャケットと歌詞の印刷された紙が入っていますが、これがちゃんとそろっていれば1枚当たり数百円から1,000円くらい期待できるタイトルもあります。
美空ひばりSPレコード
逆に、SPで難しいのはクラシック、浪曲、長唄・端唄などです。クラシックはいい音で聴きたい人が多いためか、CDの方に人気が集まっているようです。また浪曲、長唄・端唄などは、今熱心に聴かれる人がそもそも少ない、というのが現状です。
SPは戦前の物が多く(戦火を生き延びたんですね)、新しくても60年以上昔の物なので、歴史的価値や希少性は高いです。これは間違いありません。ただ市場規模としては普通のレコードより小さく、高額になりづらいのです。

最後に

さて、いかがでしたでしょうか? SP盤はレコード史の重要な部分を占めていることがお分かりいただけたことと思います。LP登場以前には、せっせと盤をひっくり返し、取り換えながら音楽を聴いていた時代があったのです。
どんな音だろう、と気になったあなた! 今は78回転対応のプレーヤーも入手可能ですよ!

おまけ

SPにもピクチャー盤がありました。ジェームス三木の「初恋ロックン」、付属品の揃った状態の良いものは2,000円での買取となります。

LP盤だけではなく、SPレコードを幅広く買取しております